2014/12/21
フェノロサの真説(2)-登場と美術真説

ボストンからアーネスト・フェノロサが日本に来た。アメリカに帰る明治23年まで、途中で1度だけアメリカに寄った以外は日本にあって日本美術の研究に没頭する傍ら、日本の美術教育についても優れた見識と指導力を発揮した。日本美術の方向性は、彼によって決定づけられたと言っても過言ではない。
彼は、狩野派の画家に接していて、狩野派を中心とする伝統絵画の様式研究を進め、狩野永探という雅号を貰う。狩野派こそ中国と日本の伝統的な美意識の結実したものという確信を彼は持っていて、その古典主義的な解釈に基づく批評活動を展開した。
中でも有名なのが明治15年の竜池会における講演「美術真説」である。美術の本質を妙想(アイディア)にあると説き、それを絵画で表現するには十の条件が必要であるとした。すなわち形と内容の統一と調和こそ大切であり、それには線、色彩、濃淡がよく整っていなければならないと述べている。この観念美学的分析に続いて、具体的現状批判に移り、日本画と洋画の優劣を5項目に渡って論じた挙句に、日本画の方が優れていると結論づけた。
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